M7級首都直下地震、4年内70%…東大地震研 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20120122-OYT1T00800.htm
「検算」します(笑)。
昨年3月11日の東日本大震災をきっかけに、首都圏では地震活動が活発化。気象庁の観測によると12月までにM3~6の地震が平均で1日当たり1・48回発生しており、震災前の約5倍に上っている。
同研究所の平田直(なおし)教授らは、この地震活動に着目。マグニチュードが1上がるごとに、地震の発生頻度が10分の1になるという地震学の経験則を活用し、今後起こりうるM7の発生確率を計算した。
という情報から、
- M3の地震が 1.48回/日 以上
- マグニチュード(M)が1上がるごとに、発生頻度が1/10 になる。
ということは、M7 の発生頻度は以下になる。
1.48 x 0.1^4 = 0.000148回/日
4年間(365×4)= 1460日間に1回以上発生する確率は、
1.0 – (1460 日間に1度も発生しない確率)
に等しいので、
1.0 – (1 – 0.000148)^1460
となる。
1.0 – 0.805657962 = 0.194342038 = 20% 弱
おいおい…確率が小さすぎますね。
ここで「M3からM6」の確率なので、中間のM5.5の場合に1.48回/日 以上として検算し直すと、
1.48 \times 0.1^1.5 = 0.0468回/日
1.0 – (1-0.0468)^{1460} = 限りなく1に近い(笑)
ので、もうちょっと1日の地震確率が低くないと駄目ですね。
今度は、70% という確率から逆算してしまいます。
0.7 = 1.0 – ( 1 – x )^1460
の方程式を解けばよいので、
(1-x)^1460 = 0.3
1460 \times log(1-x) = log 0.3
log(1-x) = log(0.3)/1460 = -0.000358136
1-x = 10^-0.000358136 = 0.999175701
x = 0.000824299
ということで、1日あたりのM7の地震を
0.00082回/日
という想定で計算していることになります。
これがどれくらいの頻度かというと、「震災前の約5倍」という表現から、震災前は、0.000164回/日となるので、M3の地震が1.48回/日 以上という、最初の初期値と同じになります。そうなると、震災前って、1日に1回はM3の地震って起きていたっけ?ってことになるのですが…ないですね。変ですねw、おそらく計算の前提が間違ていると思われます。
この、4年以内にM7の地震が起こるとか、30年以内にM7の地震が起こるという根拠も実は、同じ計算法から出されているもので、
3月11日以降の首都圏の地震活動の変化について | 東大地震研 広報アウトリーチ室
http://outreach.eri.u-tokyo.ac.jp/eqvolc/201103_tohoku/shutoseis/
なんだかねぇ、マスコミ報道も報道ですが、地震研も地震研ですね。大雑把すぎます。
まず、科学的な比較法としての
- 震災前のM3以上の地震確率、その後のM7以上の地震の確率の統計情報
- 経験則で1つマグニチュードが上がると確率が10%になる根拠(経験上のデータ)
- 現状の日単位のM3の地震の確率、ばらつき
が必要なわけで、統計学的に駄目駄目かと(苦笑)。
ま、兎も角、東大地震研の試算でいえば、日単位でM7の地震が起こる確率は、「0.00082回/日」とのことです。1000分の1弱の確率なので結構高い見積といえば見積もりですが、毎日1000回サイコロを廻して、1が出る確率が200回に1回ぐらいだと思えば、それほどびくびくするこはありませんね。
ちなみに「地震研」の発表が大ざっぱというのは、
- M3地震の確率からM7と拡大させるときに、震災後の余震と前兆との区別ができていない。
- よって相関はあっても、因果関係がないので、論理的思考ができていない。論理的な手順を踏んでいない。
ということです。
■補記
3月11日以降の首都圏の地震活動の変化について | 東大地震研 広報アウトリーチ室
http://outreach.eri.u-tokyo.ac.jp/eqvolc/201103_tohoku/shutoseis/
ブログを書いた後にアップされたので、追記。
「誘発地震」と「余震」を区別せずに推測値を出しているので、誤差が大きいかなと。去年の9月で出した計算だそうなので、再度今年に入った数値で計算し直して、推測値の推移を示してほしいものです…と思った。
定点による経過観測をしていないので、増減が分からないのが問題かと。震災前との直接比較だと、震災時の余震の影響度が分からないので、震災後からの数回の観測値から推移を計算するのがベターかと。まあ、地震に関しては、素人なのでこれまで。確率に関してはセミプロですが。