機動戦士ガンダム ジークアクス劇場版の発想元を考える

盛り上がっているうちに観ていきますかということで近場の映画館で観てきました。平日の水曜日で昼からなのですが、それなりに人が来ています。詰め詰めじゃないけど、がらがらというわけでもなさそうで、年齢層は幅広く入っていたかなぁと。

以下、ネタバレになるので、できれば映画館で観た後に。ネタバレ大丈夫な場合(私はそっちのほう)は、ざっと予習してから見に行っても楽しめます。

ひとことで言えば、「ガンダムを観に行ったらガンダムが始まった!」という感想に付きます。「水星の魔女」の場合は、第1話がガンダムっぽくないものからガンダムっぽいところで終わるのですが、ジークアクスの場合はガンダムで始まってガンダムで終わります。

端的に言えば、初代ガンダムのリメイクから始まるわけです。

仮想戦記という考え方

そもそも機動戦士ガンダムというアニメが仮想戦記なわけで当然のことながら史実に基づいているわけではありません。しかし、ところどころに出てくる地名が第二次世界大戦を思わせる地名だったり(ジャブロー、ソロモンなど)、登場人物がレーニンやスターリンを思わせたりするものがあって、史実を参考にしているところが多いのです。仮想戦記/ifシリーズと言えば「紺碧の艦隊」や「沈黙の艦隊」、「戦国自衛隊」など史実を交えながらも、ちょっとだけ当時の事実が変わって、日本軍が勝ったりするストーリーが流行っていました。

そういう点で、ジークアクス劇場版はifシリーズの系譜に相当します。もしも、ジオン軍が年戦争で勝っていたらという話ですね。もっと直接的に言えば、アムロの代わりにシャアがガンダムに乗っていたらというifシリーズです。

ちなみに、初代ガンダムでは「戦局が個人の能力に左右されることはない」という思想が強いので、シャアがガンダムに乗ったからといってジオン軍が勝つことはない、と思うのですが、せっかくだからジオン軍が勝ったという仮定をしてみましょう。

って、去年の12月にネタバレしている椎名先生はエスパーですか!?

って、一方でマフィア梶田氏が「ジオン軍が勝ったストーリーを見てみたい」という放送がカットされたという話もあるので(苦笑)、いろいろとガンダム界隈でチェックが入っていたみたいです。

作り手の発想元ネタを探ってみる

初代ガンダムネタがいろいろな方がやっていると思うので、ガンダムシリーズとは違うところから持ってきたであろう、という妄想も含めて発想元のネタを考えてみましょう。

  • ジークアクスの世界でのグランバトルは、ボトムズの地下闘技場を思わせる。そのうちキリコっぽい人がでてくるかも。
  • キラキラの部分は「夜のクラゲは泳げない」にそっくりで、なんとなく黒髪のキャラもにている。あるいは涼宮ハルヒのSOS団マークに似ているかもしれない。時空のトンネルを越えるとかの前兆?
  • 女ボスは、タイムボカンシリーズのドロンジョですね。
  • 時空のトンネルは「エウレカセブン AO」あたりに似ている。
  • マブ(MAV)は「マブダチ」が元ネタなんだけど(映画では理屈をこねているが)、タイガー&バニーのダブルデッカーですね。ダグ&キリルでもいいです。
  • 赤いガンダムの搭乗者は、どうみても「ハウルの動く城」のハウルにしか見えない。たぶん、性格もハウルに寄せてくる。
  • 全編で「ピキーン」のニュータイプ音が響くわけですが、ジークアクスがニュータイプに寄せていくかどうかは不明。どちらかというと、プラモ狂四郎とかプラレス3四郎のようなエンジニアちっくなものに寄せるような気がする。
  • ビギニングのほうは、ギレンの帝国や、サンダーボルトに雰囲気を寄せている。コロニーの脇を疾走するシーンは、そのまんまサンダーボルトにあります。
  • 奪取したガンダムをキシリアが赤く塗らせたシーンは、そのまんま「トニーたけざきのガンダム漫画」そのものです。とりあえず赤く塗っとけ!と切れるキシリアを思わせる
  • ティム・レイの工作ボックスは、Google かなんかで型番を検索して出てくるほど量産品になっていて、とってもHDDっぽい。ぴかぴかしているし。
  • ガンダムの四ツ目はエヴァそのもの
  • 木馬の左舷は~、が健在です。初代ガンダムネタは鹵獲された木馬を始めとしてあちこちに出てくるので初代を見ておくと面白いですよ。

シャリア・ブルの立ち位置は?

実は、偶然にもジークアクスの劇場版を見る直前に、富野版の初代ガンダムの小説を再読していました。シャリア・ブルは、テレビ版にも小説版にも出てくるんですが、初代ガンダムの劇場版ではカットされているんですよね。当時の理由はよくわからないのですが、後にある小説版の方に出てくるところを見ると、それなりにキャラ建てはできていたと思われます。

逆に言えば、シャリア・ブルの周辺は当時は特に設定がないわけで、シャアと組ませて話を広げやすかったという理由でしょう。特に裏設定とかなさそうなので、ジークアクスの世界でのシャリア・ブルを彼なりの正史にしやすいという図式でしょう。

個人的に言うと、ニュータイプ的な「覚醒」はあまり面白くないんですよね。旧人類が重力に引かれている=既存の構造主義や権力に縛られているので、それから解き放されたスペースノイドは呪縛から解き放されるので、構造から脱することができる「脱構築/脱構築」というスタイルが望ましい…のですが、果たして。

ガンダム史と社会思想に関してはまた別途。

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