プリンセスコネクト!Re:Dive (プリコネR) 公式サイト | Cygames https://priconne-redive.jp/ というスマホゲームがある。ウマ娘の2年前ぐらいから数か月おきにやっていたりするので、そんなに古い訳じゃないけど、確か深圳のドローンか競馬のプリンニシテヤルノ https://db.netkeiba.com/horse/2018105075/ が話題になった頃だと思う。
当時、艦これとアズレンを並行していた頃のと、「数か月おき」にやっていたのは、フルボイスの脚本が非常に面白かったから、というのがある。この手の美少女ゲームは、ところどころにキャラクターのストーリーが挟まっているわけだけど、キャラクタの絵とキャラクタ担当の声優のワンセット位で、ストーリーは字だけの場合が多い。字だけどと、まあ、それでもいいのだけど、読むのが面倒くさくてだんだんとスキップしまうのだ。
その点、「プリコネR」や「このすば」の場合は、声優が科白をきっちりと読み切るので所謂読み聞かせ状態になって便利である。なんか別のことをやっていてもいいので。
で、この手の美少女ゲームで何時からなのか知らないけど、いわゆる何かのパロディ(特に登場当時?に流行っていたアニメとか漫画とか)のキャラクタとストーリーを突っ込んてくることが多くなっている。おそらく、完全なオリジナル作品を作ると読者層というかゲーム層にあたるかどうか分からないのと、キャラクタのバックグラウンドを実際の別のアニメに寄せることができるので、楽なのでは?と思ったりする。当初は「楽」だったからなのかもしれないけど、現在では結構意図的に寄せているところが面白い。たぶん、コラボという形での相互宣伝だけではなく、一見、関係のなさそうな美少女ゲーム同士でも、似たようなキャラが似たようなストーリーで出てくることがある。
たとえば、ウマ娘の「ライスシャワー」と、アズレンの「霞」と、プリコネRの「アネモネ」とか、同じ造詣から来るものかな、と思ったりする。単なる眼帯パターンかもしれないけど。
で、それぞれのゲームのキャラクタが、多分設定書みたいなものが裏にあって、それに沿ってキャラクターを中心にストーリーを作っているのだけど、敢えて何かに似せてパロディにしているところが興味深い。というか、もともと小説とか脚本とかはそういう前提があるものを読者層が知識として持っていて、それを匂わせつつ、現在目の前にある小説なり脚本なりを読むことになる(あるいは演劇)のではないだろうか、と思ったりする。
古くは、ギリシャ神話だったり古事記だったり、歴史的な戦記ものであったり史実だったりを、少し変形しながら小説に入れ込む。ある意味、「里見八犬伝」や「水滸伝」もそうだろう。既に現在において「里見八犬伝」は古典だから、「里見八犬伝」を模した小説がたくさんある。さらに、三国志をベースに持つ「グインサーガ」や、国盗り物語をベースにする「十二国記」がある。「十二国記」に出てくる地形はおよそ現実的なものではないけど、それを模した形で「マロニエ王国の七人の騎士」みたいなものがでくる。他にも「指輪物語」とか「ロードス島戦記」とか。古典とまではいかないけど、皆が知っているであろうことを前提として、パロディあるいはオマージュとして描けるものがある。絵画であればコラージュという手法が取れる。
そういう視点でみると、「プリコネR」の各種のサイドストーリー(本編ではない方)の組み方が興味深い。サイドストーリーは過去分もできるようになっているので、数か月おきにアクセスしてみては速攻(オート処理で)ストーリーをクリアしてから、音声で流し聞きをするわけですが。
この本編とは異なるサイドストーリー(いわゆる外伝あるいはスピンオフの短編)は、エンタメ要素としては非常にやりやすい方式ですね。流行する要素も入れやすいし、なんとなく他のアニメや小説を匂わせる用語も入れやすいし、「段ドリ~」に取り込める記述要素だなぁと思ったりする。まあ、単純に聴いていても楽しい。ああ、プリコネRについては「なかよし部」関連のサイドストーリーが楽しいです。夢野久作を思い起させるので。
追記
「プリコネR」のサイドストーリーが何故興味深いのかを少し追記しておく。
もともと本編があり、ストーリーに沿ってRPG(っぽいもの)が進むというのがこの手のゲームのなのだが、この手の美少女ゲームは艦これをはじめとして、非常に多くの登場人物がでてくる。多分「同級生」あたりがスタートだと思うのだけど、育成要素プラス育成する対象が幾人もいるということで、ゲーム自体の寿命が延びるという要素が大きいのだろう。漫画言えば「5等分の花嫁」とかそんな感じ。「ガルパン」も同じジャンルかもしれない。
歴史的なところはさておき、艦これやアズレンは艦船の擬人化なので艦船があればそれだけ登場人物が増え、そのままアニメにしたり漫画にしたりしてバリエーションを増やす。ただし、アニメーションの場合は資金の関係もありそう何本も作れるわけではない。なので、できるだけ登場人物を詰め込み、登場人物の美少女(≒ゲームをやっている人の推しキャラ)が登場するという形でストーリーを組み立てることになる。なかなか大変だ。実際、艦これとアズレンのアニメのほうを見ると大変さが垣間見える。
一方で「プリコネR」の場合は、前作もあるということで(前作のほうはやっていないのだが)、何らかの形で登場人物がいて、それぞれに特徴があり、それぞれが主役級という形になっている。以前、ウマ娘のアニメを娘に見せたとき「皆、主役級の色合いでうるさい」という話あった。そう、大抵は脇役やモブの場合は服装などが主役よりも省略される場合が多いのだが、ウマ娘はそれぞれが主役級の「ウマ娘」な訳で、画面がうるさいことこの上ない。これは仕方がない現象でもある。その傍ら、ウマ娘よりも先に cygames が提供している「プリコネR」では、ギルドという形で数名がグループを作っているという設定になっている。このギルドというグループ単位でストーリーが展開することになるので、本ギルド以外のキャラは出てこなくても構わない。つまり、アニメや本編のストーリーを進めるときに、それぞれ「主役級のギルド」というものが定義されるわけである。
ギルドの数名の美少女+主人公という組み合わせになり、本編のストーリーやサイドストーリーは進む。サイドストーリーのほうは、別のギルドのメンバーが混ざったりするわけだが、基本は少人数のパーティという形になる。つまり、サイドストーリーを作るうえで、いくつかの前提条件が出てくる。
- 本編とは関係ない外伝またはオムニバス形式でストーリーが組める
- 数名の美少女キャラは、既に性格付けが明確になっている(キャラの説明がいらない)
- 「プリコネR」の主人公は、基本何もしないので、ストーリーは美少女たちだけで進められる
- 美少女キャラにはそれぞれ推しがいるので、ハッピーエンドで終わる必要がある。
- 「プリコネR」に限っては、魔物が非常にシンプルである
- なんらかの形で「魔物」のボスと戦う必要がある。
という条件さえ揃えば、基本何をやってもよいらしい。そもそも、登場してくる美少女キャラは、何かのパロディだったりすることが多いわけで(他ゲームのコラボキャラだけじゃなく、既存アニメやゲームを思わせるキャラクターが多い)、それらも含めて性格付けや背景付けがなされている。
いわば、常に「二次創作」状態でサイドストーリーが進むわけだ。
二次創作状態ではあるが、本編自体の著作権は cygames 自体が持っているので、正式にはスピンオフというところだが、サイドストーリーのストーリー自体が何かの映画やアニメのパロディを思わせたりする。キャラ自体が何かのアニメやキャラっぽいところに加えて、ストーリーもパロディっぽいので、脚本としてはかなりやりたい放題だとは思うのだけど、上記のような制約(必ずハッピーエンドであること、魔物と戦うこと)があるので、そのままではストーリーが単調になりかねない。
サイドストーリーに登場するキャラが違っても、ストーリー自体が似たり寄ったりでは、ゲームをしている人には飽きられてしまうだろう。そういう意味では商業的にも継続できそうなストーリーを提供する必要がでてくる。
そういう意味で「プリコネR」のサイドストーリーは興味深い構造になっているのである。で、脚本的に面白いのもあれば、まあ、そこそこなのもあるけど、個人的な趣味から言うと夢野久作タイプの「なかよし部」(通称ユニちゃんズ)の脚本が好みだったりする。確か、サイドストーリーごとに脚本家が違った筈(メインは、日日日氏)。あの、小難しいっぽい(根拠はあってもなくてもいい)用語を並べ得るのはなかなか大変なのだけど、頑張ってください。